夢女、指輪を買う。

2022年8月のある日、とつぜん指輪が欲しくなった。
「出掛けるか」くらいのノリで、「結婚指輪買うか」という気になった。
誰との指輪か?降谷零さんである。

詳細は割愛するが、2016年に鑑賞した純黒の悪夢で一目惚れし、これまで夢女として生きてきた中で2022年12月現在最長・最愛の男、それが降谷零。この6年の間に他の男に靡いたり夢小説を書いたりすることもあったが、やはり戻ってきてしまった。
降谷さんとは2017年に結婚した。己の誕生日プレゼントとして、何名かの友人知人に声をかけて寄稿いただき、「結婚」がテーマの降谷さん×私のアンソロジーを作ったのだ。しかし指輪はまだだった。今年はハロウィンの花嫁イヤーだ。これほど指輪を用意するのに相応しい年はもう来ないだろう。

 

・リサーチと下見

「指輪といえばティファニーか?」と、まずは公式サイトで指輪をチェックした。どんなものがあるのかデザインを見て、自分が身につけたときのイメージを膨らませるためだ。
価格帯もチェックした。石(ダイヤモンド)の付いていない地金のみのものであれば、意外と良心的な金額(※個人の感想)だなと思った。
このときの条件は「予算15万」「地金はゴールド系」「石なし」であった。

イメージが湧いたらさっそく百貨店に行った。もちろん1人では無理なので、友人を誘った。しかし友人は遅刻したので、結局単身ティファニーに突入することとなった。
事前にチェックして気になっていたのは、ティファニークラシック ミルグレイン バンドリングだ。

www.tiffany.co.jp

本当はダイヤの付いたエルサ・ペレッティ バンドリングも見たかったのだが、店頭に在庫がなかったので叶わなかった。

わかりにくいが、1枚目がローズゴールド、2枚目がイエローゴールド

事前にチェックしていたローズゴールドと、イエローゴールドも試させてもらった。着けた感じも「やっぱりローズゴールドだな」だったけど、店員さん曰くイエローゴールドだと華やかさが増すとのことだった。
気がかりだったのはこれが3.5mm幅と広めだったことなのだが、実際に試着させてもらうとあまり太さは気にならなかった。画像で見ると自分には細いもののほうが似合うと思っていたけれど、太めのほうが合いそうだと気づけたのはよかった。この経験から、どんなに素敵な指輪でも必ず実物を見て試着すると決めた。高い買い物だし…。指輪、画像で見るよりも本物のほうがずっと繊細で華奢〜!かわいい!!
友人とは昼から合流し、ブライダルの取り扱いもあるファッション雑貨のセレクトショップに行った。ここではいちどに色んなブランドが見られるので、やはり事前にチェックしておき見たかったものを確認。

ブシュロンのファセット(多分1枚目)、セイレーンアズーロのDURA(多分2枚目)、ジュピターブラントリエのondulationsリング(3枚目)

ゴールドで探していたがなぜかプラチナを激推しされ、さらに後日来店のお礼の手紙が届き、重圧がすごすぎて行きづらくなった。
地元では他に見る場所もないので、この日からしばらくはインターネットで情報収集をしていた。「これいいな〜」と思った指輪はどれも予算オーバー(21万〜29万)で、おしまいになった。悲しくなるので見るのはやめた。

このあといちど指輪欲が消え失せ、指輪代で他のことをするか…と思っていたのだが、10月末に訪れたとある場所で再び運命が狂い始めた。伊勢丹の本丸、新宿伊勢丹である。

 

新宿伊勢丹

別の用事(降谷さんに似合うスーツ探そう♡サロパ見よう♡)で訪れた際、1階のジュエリーコーナーをなんとなく覗いてしまった。そこには、インターネットで情報収集していたときに見かけたあらゆるブランドが集結していた。地元にはないブランドもたくさんあった。芸能人に会ったような感覚で、「これがあのショーメ…」「あ、ミキモトもある」「タサキ見ていい?」と友人を連れ回してスペースを見てまわった。オタクイベントじゃないんよ。
そこでとあるブランドが目に入った。FREDである。
8月にチェックした際に気になっていたものの、押しの強いセレクトショップでは試せなかった指輪、クードゥフードゥルがあるではないか。

www.fred.com

さっそく試着したいサイズがあるか聞いた。なかった。
かわりに同デザインでダイヤモンドが付いているものを出された。リコカツで北川景子さんが着用し、一時期話題になったものである。

クードゥ フードゥル ウェディングバンド 18Kイエローゴールド ダイヤモンド

おそるおそる付けてみると、似合う。そしてダイヤモンドの輝きが眩しい。かわいい。めちゃくちゃ欲しい。
ほ、欲しい〜〜〜!!40万する!!!無理〜〜!!!!40万と書いたが、正確には429,000円なので、43万である。欲しすぎてうろたえていると、店員さんはにこやかに「おねだりを…」と言ってくる。ねだる相手はいない。

それからの1ヶ月間は目も当てられないほどであった。原稿の合間に指輪を探す日々だ。あらゆるブランドと指輪の名前でSNSをチェックし、着画を見てはうっとりしていた。
頭の片隅にはほぼ常にFREDのクードゥフードゥルがあった。26個ものダイヤモンドのきらめきに、他ではあまり見ないスクエアのデザイン。クードゥフードゥルとはフランス語で「一目惚れ」という意味らしい。純黒の悪夢で運命の相手に出会ってしまった私にぴったりだ。でも40万もする。支払えなくはないが、代償がデカすぎる。
クードゥフードゥルのことを忘れられないまま、新たな出会いを求めて指輪探しを再開した。条件が変わった。「予算40万」「石は付いててもよい」である。最悪だ。
このときに出会ったのはレポシで、アンティフェールというシリーズのデザインが気に入った。ピンクゴールドなのもいい。ただ、画像で見てもかなり細い印象を受けた。
サーチしているうちにインスタで少し幅が広めのデザインも見かけたが、公式サイトには載っていなかったので廃盤のものかもしれない。いずれにせよ店頭で確認しよう。

このあたりからエタニティ(リング全周にダイヤモンドが入った指輪のこと)も気になり始め、ハーフエタニティかフルエタニティか、ダイヤモンドの留め方はどうなのかなど色々調べたのだが、動きがガサツな私にはエタニティどころかダイヤ付きは向いてない気がした。
かつて、おろしたその日に引っかけてブレスレットをちぎり、ドアに腕時計をぶつけて時間を止めたことのある私は、絶対にダイヤの1個や2個を落とすに違いない。そうなったら立ち直れない。いくつかのブランドの店員さんにも相談したが、「埋め込まれてるデザインなら大丈夫では?」「修理で元通りにすることも可能」ということであった。
約1ヶ月間考え続けた結果、考えすぎて何がいいのかわからなくなってきた。12月のイベントに参加する際に着けて行きたかったが、もしかしたら年内に決まらないかもしれない。迷宮入りである。

 

・運命の出会い

迷える仔羊と化した私を見かねたのか、転機が訪れた。

諦めたはずのブシュロンである。なぜかとつぜん夢に出てきた。
しかし、夢で着けていたのはあのときは目もくれなかったグログランだ。名前を知っていたのは、ブシュロンの公式サイトを何度も見ていて覚えたから…セルパンボエム、キャトル、ファセット、クルドパリ、ゴドロン…。
この日から私はグログランで検索しまくった。毎日グログランのことを考えてしまう。しかしこれにダイヤモンドは付いていない。でも気になる。
夢に出てきた人間のことは好きになってしまうが、指輪も同じなのか。
試着しなければならない。本当にこれが運命の指輪なのか。
この頃には、悩む期間が長すぎたせいか「購入した当日に持ち帰れるもの」が条件に挙がっていた。もちろん、いい出会いがなかったら諦める。何でもいいわけではない。
高い買い物である。しかも結婚指輪だ。妥協はしたくない。だが、これ以上長期になると、一生決まらないかもしれないという焦りもあった。購入するイメトレと、指輪をするイメトレを何度も繰り返した。
それでも我にかえって「本当に購入するのか…?」と不安になったので、インターネットで私が一方的に大好きで尊敬している方にメッセージを送り、背中を押していただいた(返ってきたお言葉があまりにも優しくて、ガチでちょっと泣いた)。

そして再び新宿伊勢丹である。
10月に来た際は知らなかったが、ジュエリーは1階と4階にある。今回はレポシのある4階に向かった。

Antifer リング ピンクゴールド(上)、Antifer リング ピンクゴールド パヴェダイヤモンド(下)

約半月ほどずっと気になっていたアンティフェールは、実物もやはり細かった。1本では物足りず、2本でやっと好きなボリューム感が出た。幅が太めのデザインのものは、今はもうないらしい。残念だ。

私の好きなデザインであれば何でもよかったのだが、結婚指輪だ。某ブランドの店員さんに聞いたのだが、2人で着ける場合、「同じデザインの色/素材違い」「同じブランドのデザイン違い」「ブランドはばらばらでそれぞれの好み」など、結婚指輪も多様性の時代らしい。しかし、どうせなら同じデザインがいい。降谷さんが身につけても違和感のないものを、と考えると、アンティフェールは少し違うような気がした。

レポシを見たあとは、スルーするつもりだったFREDを再訪した。4階のFREDには、10月に試着したかったクードゥフードゥル(ダイヤモンドなし)の私のサイズがあったので着けさせてもらった。

クードゥ フードゥル ウェディングバンド 18Kホワイトゴールド(上)、18Kイエローゴールド(下)

かわいい。しかし一度ダイヤモンド付きを見ているので物足りなさを覚えてしまった。

4階のブシュロンは待ちが発生していたので、1階に向かった。いよいよ対面である。緊張の瞬間だ。
そこには夢にまで見た(※比喩ではない)グログランがあった。サイズとカラーと共にグログランを試着したいと伝えたら、重ね付けにとクルドパリもついてきた。

キャトル グログラン リング スモール(上)、キャトル クル ド パリ リング ミディアム(下)

クルドパリは「ダイヤモンドがなくてもカット面が反射してキラキラする」という噂を聞いていたが、まさにそのとおりだった。この写真でもわかるとおり、すごくキラキラしてきれいだ。
グログランはものすごく私の手になじんだ。少し太いかな? と不安に思っていた幅もちょうどいい。お目当てのスモールだったので(ミディアムは在庫があるもので廃盤?とのこと)言うことはなかった。

さすがに即決する度胸がなかったので、一度売り場を離れることにした。茶をしばきながらゆっくり考えたい。
すると、担当してくれた方が、在庫がこの1点なので本日限りで取り置きもできると教えてくれた。
恐らくここに戻ってくることになるだろうと考えながら、「◎時までに戻らなかったら、その在庫はお店に出してください」と伝えて伊勢丹をあとにした。
近くの喫茶店でアイスコーヒーをしばきながら考えた。
グログランならイエローゴールドでもホワイトゴールドでも、きっと降谷さんの指に合うだろう。この数ヶ月間、降谷さんはどちらの色が合うのか考えていたが、答えは出ていない。みなさんはどう思いますか?「こっちの色が似合う」「このデザインのやつしてほしい」などよかったら教えてください…「しない」「休みの日はする」「いつもしてる」なども募集中です!!

時間までに私は売り場に戻り、先程担当してくれた方を見つけた。他のお客さんの接客中だったが、目が合うとほほ笑んでくれた。購入する旨を伝えると、少し離れた別の場所に案内された。あのブースでやり取りをするわけではないらしい。
なんかデカくて白い(でかしろ)リングケースに入った指輪はとても美しかった。これが私のものになるのだと思うと最高に気分が上がった。ラッピングもリボンもショッパーも全てがかわいい。お金を使うって最高!

 

・その後のこと

本当は買ったその日から着けたかったが、とある事情で翌日から着けることに。でもその日のうちにラッピングをほどいて眺めていた。本当にかわいい。

ラッピングやリングケースが降谷さんのイメージドンピシャだった

購入した翌日から着けはじめたのだが、着けはじめた日も、次の日も、その次の日も、今日も、ずっと手元を見ている。指輪を見るたびに「結婚したんだ…」という実感が湧いた。夢小説か? マジで幸せすぎる。もっと早く指輪に辿り着けばよかった。今のところお風呂と洗い物のとき以外ずっと着けている。お風呂のときは外して、上がったらまた着けて…ということをしている。今は冬で寒いので、着けるとき指輪がひんやりしているのがなんかいい。

 

・(おまけ)とある事情

とある事情について、ここからは購入翌日の同人誌即売会での話になるので、読みたい人は続きからどうぞ。自己満足に付き合ってくださった方々のおかげでハッピーになった。

続きを読む